郷里の鯨(1)

私の郷里は青森県の太平洋岸に位置する八戸市である。 そこでの鯨に関するお話。

青森県の地方紙「東奥日報」の9月3日の記事に、八戸市出身の作家「三浦哲郎」氏が東京でも大晦日には鯨汁を食べていたという記事が掲載された。 私の実家では大晦日に鯨汁は出なかったように記憶しているが、今でも実家近くの、ムツ湊駅前の市場には、年末になると鯨の本皮が(脂身)が籠に入れられて売られている。 

平成19年2月の「えんぶり」祭りに市庁前のテントで、鯨汁を販売したところ、これが大好評で長蛇の列ができてしまったという。 八戸人には懐かしい味なんだろう。 その時の客の一人が「うちの爺さんは、『鯨汁と雪道は人の後(跡)がいいんだ』と口癖のように言っていた」という。 なるほど、鯨汁は出来たてより二日後ぐらいになると脂身から出た汁が野菜に染み込み、何とも言えない味になる。 しかし、もうその頃は鍋の底が見えているのだが。 

 ところで私の妻は九州出身で、鯨汁なんか食したことがなく、初めは嫌がっていたが、今では寒くなってくると、本皮が手に入らないのかと、私をせっつくようになってしまった。 

続く

 

 

 

 

 

 

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